メリーバットエンドの真髄ここにあり
こんにちは。最近露天風呂の概念を覆された、重華<チョウカ>です。
先日、スーパー銭湯に行って、露天うたた寝湯なるものに癒されました。露天風呂は冬が至高と思っていたのですが、夏場に寝っ転がりながらたまに吹く涼しい風に癒される夏の銭湯もいいな思えました♨
さて、今回は、9月2日の誕生花“マリーゴールド”の花言葉「悲しみ」にちなんだ女性向けドラマCDを独断で選んでご紹介します。
架空の特異な病に翻弄され、快楽に依存していくジレンマと終わり行く日常を追体験できる女性向けドラマCDに出合うきっかけになれば嬉しいです。
では、どうぞー。
Toxic Dilemma
幸せの絶頂期に触れ合えなくなった二人の決断―。

ブランド | ステラワース |
発売日 | 2024/11/15 |
シナリオ/イラスト | 恵村まお/ウエハラ蜂 |
声優 | 冬ノ熊肉 |
ジャンル | 恋人同士・純愛・同僚 |
試聴できます○o。.
あらすじ
それでもあなたは、私を愛することを望みますか――
私たちは愛し合っていた。
謎の奇病によって遺伝子構造が変化し、毒に支配されるその日までは。あなたと蓮は数年の交際を経て、結婚を控えたカップル。
新居で同棲を始め、穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんなある日。
ふたり睦まじく夜の時間を過ごしていたところ、
蓮が息苦しさを訴え、そのまま意識を失ってしまう。
その後、あなたが《バイパー》に罹っていることが発覚する。それはつまり――これ以上の性的な接触を望めないということだった。
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登場人物

卜部 蓮(うらべ れん)CV.冬ノ熊肉
【身長】182cm
【誕生日/年齢】11月2日/26歳
【血液型】A型
【職業】会社員学生時代の就職活動で知り合い、同じ教育系の企業に就職した同僚。
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あなたに交際を申し込み、その後、数年の交際を経て今に至る。
現在は予備校職員として生徒の進路指導にあたっていて、
生徒やその両親からも信頼され、愛されている。
たまに冗談を言うこともあるが、誰よりもあなたのことを大切に思っている。
その真摯さゆえに、強烈なジレンマを抱えることになる。
「本気で言ってるよ。今だって俺は、君が欲しくてどうしようもない」
「……大丈夫だから。俺と一緒にいることを怖がらないで欲しい」
「さっきみたいに、君からキスして……好きって教えて。
もう余計なこと全部忘れて、ただ俺を欲しがってよ」
用語
現代日本に突如発生した奇病《バイパー》 ↓
現代日本に突如発生した奇病。
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罹患者の体液から分泌されるようになる毒がヘビの毒と近い性質を持つため
《バイパー》と命名される。
治療方法が確立されておらず、完治が難しい。
罹患者の症状と依存性 ↓
誰かに対して愛情や性的な感情(=ときめき)を抱くことにより瞳の色が赤く変色し、
甘い匂いを発する他、体液から毒が分泌されるようになる。
性的接触することで相手の生命を脅かす。DLsite.com
一度毒に触れたものへ快感を植え付け、その毒をまた求めるようになってしまう。
特に罹患者から発される甘い匂いを感じてしまうと抗うのは難く、興奮や衝動を抑えられなくなる。
また、依存度が高まると、精神的に不安定になってしまうなど日常生活にも支障が出てくる。
バイパー依存も解毒剤で症状を緩和することが出来るが、解毒剤を使用すればするほどその効果は薄れていってしまう。
✿❀感想❀✿
MAX:✿×5 | |
純愛 | ✿×5 |
悲哀 | ❀×5 |
切なさ | ✿×5 |
純愛の行き着く先とは―?
ヒロインと卜部氏は結婚を目前に控えたカップルで、これからからという幸せの絶頂期に「触れ合うことができない奇病」に翻弄されることになります。
ヒロインが罹患した奇病“バイパー-viper-”は毒蛇の意味で、一度罹患してしまえば完治が困難な病で、分泌される体液が毒蛇に似ていることからその名前が付けられ、ヒロインが“バイパー”に侵されたことがきっかけで2人は相手を想いあうが故に共依存の関係に堕ちていくことになります。
“バイパー”の症状として相手に強い感情、主に愛情や思慕や性的感情といった感情を抱くことにより、相手を興奮させ虜にさせる甘い匂いを発し、相手の命さえ脅かすほどの強力な毒を分泌してしまいます。分泌される毒には依存性があり相手を快楽漬けにし、解毒薬は存在しますが、何度も利用すれば耐性がつき効果が薄れていってしまうのが現状です。設定が細かく作り込まれていて、設定を読み込めば読み込むほど、作品の深みにハマっていきます。“バイパー”の症状のインモラルな絶望感が、この作品の終りを予感させます。
序盤のトラックでは、ヒロインが“バイパー”に罹患してしまう前の穏やかでひたすらに甘い二人の姿が描かれているので、それが後半のトラックの切なさと悲哀を際立たせているように思います。愛しているのに触れ合いない、触れ合えば愛した相手の命を奪ってしまう。命がつきるその時まで愛し合うことを選んだ二人の終りまでの道程に心がギュッと苦しくなります。
今作の声優さんは冬ノ熊肉さんです。うん。うん。最高でした。優しさと頼りがいと穏やかさという陽の感情だけでなく、葛藤や怒りや悲哀といった陰の感情も繊細に表現されているのが伝わってきて、冬ノ熊肉さんの色んな声の表情が堪能できる作品です。何よりこの作品の少し突飛でファンタジーな設定をもリアルな現実味を帯びた世界として落とし込み、違和感なく作品を聴けたのは冬ノ熊肉さんの卓越した技量のなせる業なのかと思います。改めて冬ノ熊肉さんのお声が好きになるきっかけになる出会いでした。
トラック名も「心か、体か」「キスか、笑顔か」「依存か、抑制か」などヒロインと卜部氏の間にあるジレンマを一目で把握できるのが何気に良いです。相手を一途に想う感情と相手を求める快感の本能が拮抗している卜部氏の葛藤が如実に表れている秀逸なタイトルで好きです、、。特にTRACK4「キスか、笑顔か」はまだヒロインの罹患が発覚する前の序盤のシーンで卜部氏の「君の笑顔は可愛すぎて、キスしたくなる」というセリフの伏線回収のようなタイトル名なのがグッときました、、。ウエハラ蜂さんが担当したジャケ写もいい、、。蛇に巻き付かれても尚穏やかに不敵に笑う姿にゾクッとしました。聴く前と聴いた後ではジャケの卜部氏の表情は何か含みがあるのかなと色々考えてしまうほどに、万華鏡のような不思議な魅力があります。
聴き手により、ハッピーエンドがバットエンドかは解釈が分かれそうだと思う、正にメリーバットエンドの真髄を味わえる作品です。
がるまに限定特典の「ふたりだけの世界」では本編後の二人が描かれています。最後のセリフに本編後の余韻が吹き飛ぶほどの鳥肌がたちました。薔薇色ではなく心を蝕む愛の形を描ききった良作です。
しばらくは、この作品のことが頭から離れません、、。
おわりに
ありがとうございました((*_ _)
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